大判例

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東京高等裁判所 昭和61年(行ソ)4号 判決

一 再審原告の主張一の事実は当事者間に争いがない。

二 そこで同二の主張について判断する。

1 (二の1、2について)再審原告が原判決に対する上告審において、上告理由として再審原告の主張二の1及び2と同趣旨の主張をしたことは、上告理由書の記載に徴して明らかである。従つて、右1及び2は民事訴訟法四二〇条一項但書前段の規定により再審の理由とはなり得ないものである。

2 (同3について)再審原告は、原判決の正本を受領したことにより、その当時再審原告の主張二の3に記載された事実を知つたものと解するのが相当であるところ、本件記録を検討しても再審原告が上告審において上告理由として右3の主張をした形跡がない。そうすると、右3も同条一項但書後段の規定により再審の理由とはなり得ないものである。

三 よつて、本件再審の訴は不適法であるからこれを却下する。

〔編註その一〕 本件における当事者の主張は左のとおりである。

第一 当事者の求めた裁判

一 再審原告

「東京高等裁判所が昭和五六年(行ケ)第一四四号審決取消請求事件について、昭和六〇年九月三〇日にした判決を取消す。特許庁が昭和五二年審判第七八六四号事件について、昭和五六年三月三〇日にした審決を取消す。訴訟費用は再審被告らの負担とする。」との判決

二 再審被告ら

主文同旨の判決

第二 再審原告の主張(再審理由)

一 東京高等裁判所は、再審原告を原告、再審被告両名を共同被告とする同庁昭和五六年(行ケ)第一四四号審決取消請求事件について、昭和六〇年九月三〇日原告の請求を棄却する旨の判決(以下「原判決」という。)をした。再審原告はこれに対し上告したが、昭和六一年四月二四日上告棄却の判決があつて原判決は確定した。

二 原判決には以下主張のとおり民事訴訟法四二〇条一項九号に該当する再審事由があるから、その取消を求める。

1 原判決は、「ゴムホースと塩化ビニールホースとは技術分野を同じくするものであり、このことは日本工業規格に定める試験方法上差異がないことに照らしても明らかである。」旨の再審被告らの主張に対し、「塩化ビニールホースとゴムホースとは工業規格上特段の差異がないことは原告の明らかに争わないところであり、他に特段の立証がないので、両者の製造方法は技術分野を共通にするものであると解すべきところ」と判断した。しかし原判決は、塩化ビニールホースとゴムホースの工業規格が本件発明の特許出願前に存在したことを明らかにしていないばかりでなく、再審被告らの引用した日本工業規格(JIS、K六七三三)の農業用噴霧機ビニールホースの品質と試験方法から、どのような理由で塩化ビニールホースとゴムホースの工業規格が両者の製造方法に結びつくのか、またどのような点で両者の技術分野が共通するのかについて判断をしていない。

2 原判決は、再審原告が本件発明の特許出願時の技術水準に関する資料として、甲第九号証(「プラスチツク加工技術便覧」)に記載の「軟質PVC耐圧管とは管の中間に金属線あるいは繊維を編組した層を入れ強度を与えたものであつて、今後の新製品として期待されているものである。この種の製品はまだ歴史が浅くかつ接着処理に困難なところがあるのでデーターが乏しい。」との部分を引用し、本件発明(内外のビニール管と中間の繊維ブレード層が各部均斉して完全一体に結合(接着)された堅牢ホースをつくるための五工程を結合した製造法)には特有の目的、構成、効果を有し、進歩性がある旨主張したにもかかわらず、これに対する判断を遺脱し、その結果右甲号証記載の三工程からなる軟質PVC耐圧管が本件発明の特許出願前周知であつた点を引用して本件発明の効果は格別のものではないと認定した。従つて、右判断の遺脱は、判決に影響を及ぼすものであることは明らかである。

3 本件発明は、五工程からなるものであり、この五工程の結合による相乗効果が顕著なものである。しかるに原判決は、四つの引用例と本件発明の各工程とを対比し、個々にはその効果を判断しているが、これら四つの引用例の相互の関係及びこれらの有機的結びつきについての判断並びに右四つの引用例の構成、効果から本件発明の構成、効果が容易に導き出せるか否かの判断を遺脱している。

第三 再審被告らの答弁と主張

再審原告の主張一は認めるが、二は争う。

再審原告が主張するところは、いずれも原判決に対する上告審において再審原告が上告理由として主張したものであるから、民事訴訟法四二〇条一項但書の規定により許されないものである。また、右の主張はいずれも原判決の判断が不当であるから再度審理を求めるというに尽きるものであり、同法四二〇条一項九号の規定にいう判断の遺脱にも該当しない。

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